故障探求のススメ


case 4:  HICAS)1ランプ点灯

患者 '89 NISSAN R32(スカイライン)
入庫日 2000/07/27
症状 長距離走ると”HICAS”ランプが点灯する。

なぜか、バンパーに”TRD)2”のステッカーの貼ってある謎のマレーシア人所有の車です。
市内走行や、ちょい乗りでは大丈夫だが、”宇部”から”山口”(約40km)に行くときに、
必ず”同じ所”で”HICAS”ランプが点灯するとのこと。
1度エンジンを゛OFF゛にすると消えてしまうが、しばらくするとまた点灯してしまうらしい。
しばらくしてから点灯するときは場所は関係なく、そのまま市内走行してしまうとつかないときもある
ということで、入庫してきました。
  

 この車のHICASシステムは
1、パワステオイルが少ないとき。
2、電気系統に異常があるとき。
にHICASランプを点灯させて運転者に注意を促す機能があります。
 パワステオイルは規定量入っているので電気系統の”自己診断)3”を行なうことにしました。
 方法は
1、エンジンをスタートさせる。
2、10秒以内にブレーキを5回以上踏み、ハンドルを中立位置から左右20度以上かつ、5回以上切る。というものです。


すると本来なら、HICASランプが”ピコピコ”と点滅しだして
”故障コード”なるもので故障箇所を教えてくれるのですが、
自己診断を始める気配がなく、ランプの”ピコピコ”が始まりません。
エンジン始動時のランプチェック機能は正常なのでコンピューターの電源、アースは正常と判断して、
自己診断の開始に必要な”ブレーキ信号、舵角中立信号、転舵角信号”の点検を行なうことにしました。



 点検をしたところ、”舵角中立信号”(ハンドルがまっすぐの位置を検出する信号)が写真の位置にハンドルがきて出力されることが分かりました。(もちろんこの状態ではタイヤも切れています。)
 このことを踏まえて、お客様の言われる”宇部〜山口”の道のりを試運転することにしてみました。
 自動車が”10km゛走行するのに中立信号が一度も入力されない場合HICASのコンピューターが中立センサー異常と判断してランプをつけるからです。
 案の定、お客様の言われる道のりは、ハンドルをそこまで切るようなカーブがなく、10km走行した時点でHICASランプが点灯しました。そこはまさにお客様の言われていた場所なのです。



間違いなく中立信号の異常でランプがついているようです。
そこで、ハンドルの中立位置が、何故そこまでずれているのか、
足廻り、ステアリングシャフト廻り、センサー、ハンドルと入念に調べましたが、
それぞれがマークがしてあったりとか、つくようにしかつかないようになっていたりとかで
これと言ってずれてしまう原因が見当たりません。



 しかし、これだけハンドルの中立位置がずれてしまうのはこれしかない!
ということで、近くのスクラップ屋さんでかたっぱしからスカイラインのハンドルを引っこ抜いてみたところ、ぱっと見同じように見える純正ハンドルでも裏を見るとハンドルのセンサー取り付け穴の部分が違うタイプがあったのです!。(クリックで拡大)
 右が現車についていたもので、左のハンドルを取り付けるとすべての中立位置がピタリと合いました。
 中古車で購入したということなので、おそらく前オーナーか中古車屋さんが、引っこ抜いた社外ハンドルの替わりに、適当な純正ハンドルを取り付けたのでしょう。



ハンドルを左のタイプに取替え、ハンドルが中立位置で信号が出力されるのを確認し、
再度、試運転を行なってランプがつかないのを確認して納車となりました。

社外ハンドルに替えた場合やアライメントの狂いで大幅にハンドル位置がずれた場合でもありえるトラブルでした。

HICAS)1・・・・ハイキャス、ハイキャスU、スーパーハイキャスとゲームのバージョンアップみたいに進化する日産の後輪転舵システムです。現車はスーパーハイキャスです。
TRD2・・・・TOYOTA Racing Developmentの略。トヨタ車用のレースパーツのメーカーです。

自己診断)3・・・・コンピューターに何か悪いところが無いか聞いてみること。コンピューターが制御しているシステムの故障診断では”とりあえず”行なってみましょう。


今回の教訓   スカイライン、マレーシアでは家が建つ。


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