故障探求のススメ
case 9: ディーゼル車のエンスト
| 患者 | '95 CHEVROLET K-2500 |
| 入庫日 | 2001/10/16 |
| 症状 | 走行中、時々エンストしてしまう |
現車はアメ車にめずらしく電子制御6.5リッターディーゼルターボのエンジンが載っていて、
メンテナンスは当社で定期的に消耗品を交換済みですし
”Tech 1A”の自己診断、データモニターも異常なし、
さらに不具合発生頻度が少ないと、一筋縄ではいきそうにありません。
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一通り基本点検を済ませてから試運転してみますが一向に止まる気配がありません。 しかし、ディーゼルエンジンですから”よい圧縮、よい燃料”のどちらかの不具合しかありません。 ”よい圧縮”は普段調子いいことや不具合現象からいって省く事にして”よい燃料”に的を絞ってみていく事にします。 |
燃料システムは電子制御の分配式インジェクションポンプが採用されており
エンジン回転数、アクセル開度などから噴射量を決め
VCM)1がフューエルソレノイドに信号を送り噴射量を制御しているタイプで
基本的にはトヨタの最近のカローラなんかの電制ディーゼル)2に似たような感じです。
(こっちの方が5年以上前からあるシステムなので”トヨタが似ている”んでしょうけど。)
エンスト、再始動は容易にできる、自己診断は記憶なし、という条件から
VCMの自己診断の異常判定条件に当てはまらないものでなおかつ
8気筒全部の燃料を瞬間的にカットできるものの仕業のようです。
資料を見てみるとほとんどのセンサー、アクチュエーターを色々な判定条件でVCMが管理しており、
自己診断に引っかからないというものはなさそうです。
しかし、システムを整理していくとある怪しいものが浮かび上がってきました。
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VCMとフューエルソレノイドの関係ですが、実際にはVCMは”フューエルソレノイドドライバー”(写真中央の四角い黒いもの)というモジュール(ガソリン車で言うパワトラの役目)に信号を送り、さらにドライバーからの信号でソレノイドが動いているのです。また、ソレノイドの自己診断もソレノイドを直接動かしているドライバーからの信号でVCMが判定しているようなので、この辺りに網を張っておけば何かしら引っかかってくれそうです。 |
試運転すること5日目、やっとエンストしてくれました。
(エンストして嬉しいのは修理屋くらいでしょうね。 ぶつかりそうになりましたけど。)
写真はそのときの状態でVCMから制御信号はずっと出ているのですが
ドライバーからのソレノイド駆動信号が四角で囲った部分で途切れています。
立て続けにエンストを起こしている間に同じようにドライバーの電源、アースと繋ぎ換え測定し、
それらに異常がないことを確認してドライバー本体の不良と判断しました。
たったネジ4本のドライバーをインテークマニホールドまで外しての作業で交換し
噴射時期の調整、VCMの設定し直しで修理完了となりました。
ちなみにこの6.5リッターディーゼルターボのエンジン、
アメリカ陸軍御用達の”AMG HUMMER)3”にも採用されているようです。
VCM)1・・・・・Vehicle Control Moduleの略。エンジンだけでなくミッションまでも一緒に制御してしまう欲張りなコンピューター。
カローラなんかの電制ディーゼル)2・・・・・整備業界の方、平成12年度検査主任研修資料(技術編)をご参考ください。
AMG HUMMER)3・・・・・湾岸戦争で現地の車を踏み潰していたあの四駆の装甲車です。
今回の教訓 中東で エンストしたら 持ってこい (直ったんでちょっと強気)